サイトナの作文れんしゅう

毒にも薬にもならないようなことをつらつらと書いたエッセイのようなものです。

乳酸菌が死んでる!

高校生のとき、乳酸菌入りの飲み物が好きで、よく飲んでいた。
今でもリッター100円ちょっとのヤクルトのような何かを飲んでる。ヤクルトはちょっと高級品なのでね。
乳酸菌はお腹の中でなにやらいろいろと善行をしてくれているらしい。緑の募金に寄付したり、電車で席を譲ったり、そういうことではないか。とにかく、お腹にとてもいいらしい。

最近のヨーグルトを見てみると、お腹にできるだけ多くの乳酸菌君が到着できるようにいろいろと工夫がされている。胃で死なない乳酸菌、腸までカプセルに乗っていく乳酸菌君までいる。すごい。
言い方を換えれば、乳酸菌君をお腹の中にできるだけ多く派遣しなければならないようである。お腹政府の「お腹防衛のためにはより多くの乳酸菌部隊が必要である」という要求に、乳酸菌君たちは健気に応えているのである。偉いねえ。

ところが、そんなお腹政府に真っ向から逆らう部隊がいた。
アクアブルガリア飲むヨーグルトである。
乳酸菌飲料(殺菌)
パックにそう表示されていた。
(殺菌)て、死んでるんかい、乳酸菌。
高校の自動販売機で売っていたのでよく飲んでいた。飲むヨーグルトにしてはさっぱりしている。というかさらっとした感じだった。さわやかな味が売りらしい。
アクアブルガリアはさわやかさを出すために、乳酸菌君を犠牲にしたみたい。
(殺菌)だ。
でも乳酸菌飲料と言い張ってるのがすごいと思う。まあ、確かに入ってはいるんだけどね。

それでもおいしいから飲んでしまっていたのだった。他の乳酸菌君の同志たちが、アクアブルガリアをおいしく飲んでいるおれをよく思ってないかもしれない、と思うのだった。よくもわれわれ同志を殺菌したものをおいしそうに飲んだな、とお腹の中で謀反を起こされて、お腹の弱いおれははかなく戦場の露と消えてしまうのである。乳酸菌君、ごめんなさい。
しかし、乳酸菌君を何とかして残そうとする乳製品界の流れの中で、乳酸菌よりもさわやかさをとるアクアブルガリアは少しかっこいいなあ、と思うのだった。
昨今の健康ブームに流されずに「らしさ」を貫くアクアブルガリア
これからもアクアブルガリアにはさわやかでいてほしいと思う。最近その姿を見ないけど。