サイトナの作文れんしゅう

毒にも薬にもならないようなことをつらつらと書いたエッセイのようなものです。

滞在時間10分!小樽の旅

高校3年の冬、おれは大学の入学試験を受けるために、住んでいた札幌から、学校のある青森県弘前市へと向かった。
千歳空港から青森へは飛行機を使ったのだった。当時は乗れたんだねえ、飛行機。
今も空を飛びさえしなければ乗れるのだけど。

そして、受験を終え、札幌に帰ることに。
再び山の中の青森空港から千歳空港へ飛んだ。青森から千歳までの所要時間はたったの30分。なので、千歳、青森間では飛行機が上昇したと思ったらもう下降してしまうのである。水平飛行時間はなしだ。
上昇、下降中は電子機器は使えないし、シートベルトが外せないのでそもそもトイレにも行けないのである。千歳、青森間を飛行機で行こうとしている人はトイレを済ませておきましょうね。余計なお世話か。

上昇し、下降して千歳に着いた。
空港から快速エアポートで札幌に向かう。
札幌に着いた。
さて、家に帰るとしよう。
このときおれは有益な情報を得ていた。
札幌駅から自宅への移動は、普段は地下鉄東西線を使っていたが、バスを使えばうちのすぐ近くまで行けるという。そうそう、円山公園の大きい鳥居の近くのあのバス停のことだよ、あなたも物知りだねえ。
バスターミナルの4番乗り場に来るバスはどれもうちの近くのバス停にとまるらしい。

たまにはバスもいいか、とバスターミナルへ向かう。程なくしてバスがやってきた。
バスに乗り、揺られながら窓の外を流れる風景を眺めていた。
しばらくの間ぼうっとしていると、車窓からの風景がいつもと違ってきていることになんとなく気付いた。が、特に気にすることもなく、そのままぼうっとしていた。
しかし、バスは高速道路に入っていったのである。
おわ。さすがに気にした。
ど、どこに連れてくつもりだ。

どうやら小樽行きの高速バスに乗ってしまったようなのだ。バスはそのまま高速道路を飛ばし、小樽駅に着いた。そりゃ着くよ、小樽行きに乗ったんだもの。運賃は1040円。
自分はいないことにしてこのまま札幌に戻ってくれてもいいんですよ、運転手さん、と思ってみたが、運転手さんが反応してくれるわけもなく、おとなしく運賃入れにお金を入れたのだった。1040円。1040円だったよね、運賃。金額が違っていたらすいません、中央バスさん。

小樽という町には好印象を持っていた。海があるし、小樽運河やオルゴール館、水族館などいろいろ見たいところがたくさんある場所だった。でも、今は、札幌へ帰して。
駅の時刻表を見ると、札幌行きの電車が10分後くらいに出るらしい。
そして約10分後、おれは札幌行きの電車に乗った。10分間のたくさんの思い出を胸に、小樽を後にしたのだった。

札幌駅に着いた。今日二度目の札幌到着である。3時間前にいたところへ戻ってきた。たぶん3時間前にいたところだと思う。
地下鉄に乗り、あっさり家に着いた。30分かからなかった。地下鉄は速いなあ。て違うか。中央バスさんは悪くないですね。すいません。

青森から札幌へ。そして小樽をまわり再び札幌へ。こう聞くとちょっとした旅行のコースみたいだ。
どうだい、うらやましいかい。そうでもないか。