サイトナの作文れんしゅう

毒にも薬にもならないようなことをつらつらと書いたエッセイのようなものです。

アトピーには竹せっけん、ときどき玄関に塩

アトピーとおれとのつきあいは生まれたときからだ。かれこれ30年以上。長い。
夏は暑さからくるほてりや汗のせいでかゆく、冬は乾燥でかさかさするせいでかゆく、それ以外の季節でもとにかくかゆく、なかなかにつらい。
しかも、「痛い」「苦しい」に比べて、「かゆい」は周りの人になかなかそのつらさをわかってもらいにくいのだ。それもまたつらい。

そんなアトピー持ちのおれにとって、大学生のときにすてきな出逢いがあったのだ。いい朝8時。あ、そういう番組があったのだよ、すてきな出逢いいい朝8時。
当時つきあっていた彼女が、ある日突然白いボトルをおれに渡してきたのだった。ボトルには竹せっけんと書いたラベルが貼ってある。

彼女は健康に自分なりのこだわりを持ってた人で、ヒバオイルからオリジナルの化粧水を作ったり、ごはんを炊くときににがりを入れてきたり、作った焼きうどんににがりを加えてきたり、みそ汁ににがりを入れてきたりと、「これがいい」というものは積極的に試しておれにもすすめてきた。にがりまみれだ。
また、彼女は風水にもはまっていて、自分の家だけじゃなくおれの部屋にまで盛り塩をしたり、馬蹄型のチャームを飾ったり、Dr.コパの本を置いてったりしていた。知らないうちに玄関に盛り塩がしてあって、部屋に帰ってきたおれがそれを蹴ってしまって豪快に塩を巻き散らかしたこともあった。まるで水戸泉でも来たかのような玄関。
いいか、当時の彼女と水戸泉の話は。

そんな彼女がおれにすすめてきたのが竹せっけんだった。

以来、おれが大学を卒業して青森を出て、社会人になってから今に至るまで、毎日の風呂タイムは竹せっけんのお世話になっている。
その彼女とは社会人1年目の初夏に別れが来たのだが、竹せっけんとのつきあいはまだ続いているのだ。思い出すとちょっと泣きそうだが続けます。

竹せっけんは、普通のせっけんやシャンプーみたいなシャボンのような香りはしないが、竹由来のなんとも言えないいい匂いがする。和を感じる。
また、化学物質は必要最低限しか使っていないので、肌に対する刺激は殆どない。ホテルに備え付けのシャンプーなどをうっかり使ってしまうと肌がピリピリしてしまうおれでも、竹せっけんなら使ってる最中も風呂からあがった後もまったくピリピリしないのだ。
それに竹せっけんは身体も頭も両方に使えるので、せっけんとシャンプーを揃えないとだめなのでは、みたいな心配もいらない。これ一本で解決である。ズバッと解決。

ただ、この竹せっけんはどこにでも売っているわけではない。
青森にあるアイセイサービスというところでしか手に入らない。
日常使っていて、いつも電話1本で注文しているので気にしていなかったが、調べてみたらホームページもなかったアイセイさん。
竹せっけんのボトルそのものに貼ってあるラベルが情報のすべてだ。潔い。

街中や電車で、アトピーがつらそうだな、と思う人を見かけることがあるが、おれは電車の中でいきなり「竹せっけんいいっすよ」とぐいぐい話しかけにいけるような豪傑ではない。
それにぐいぐい行って乗客トラブルだと思われて登戸駅あたりで降ろされても困ってしまうし。なんで南武線なんだ。
でもそのくらいすすめたい。
少しでも肌やかゆみのストレスに悩む人に知ってもらえればなあと。

もちろん、かかりつけの皮膚科を見つけて、正しく薬を使って、少しでも生活習慣を気にすることはもちろんで、その上でな。水戸泉との約束だ。

アイセイサービス
住所:東京都江戸川区篠崎町4-19-22-102
電話:090-6455-2564
※アイセイさんは青森から東京にお引越ししました